
ステンレス鍋は食材がくっつきます。
たとえばカレーを作る場合、ステンレス鍋で肉や野菜を炒めていると高い確率でくっついてしまうはずです。これはステンレスの熱伝導率が悪いためであり、熱ムラができてしまうために温度の低い部分でくっつきやすくなります。
そのため食材がくっつかないようにするためには余熱がポイントになります。
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食材がくっつく仕組みは?

ステンレス鍋は温度の低い部分でくっつきます。
肉や魚などのたんぱく質食材がくっつくのは「筋形質たんぱく質(球状たんぱく質)の活性基が金属面と凝着するため」です。そのために熱ムラがあると温度の低い部分で熱凝固が遅れるためにくっつきやすくなります。
ちなみに、たんぱく質は大きく3つに分類されます。
筋肉たんぱく質 | 筋原線維たんぱく質 ミオシンやアクチンなど | 筋形質たんぱく質 ミオグロビンや各種酵素など | 肉基質たんぱく質 コラーゲンやエラスチンなど |
---|---|---|---|
形状 | 繊維状 | 球状 | 繊維状 |
溶解性 | 塩溶性 | 水溶性 | 不溶性 |
熱による変化 | 収縮、凝固 | 凝固 | 収縮、分解 |
このことからも下ごしらえは重要です。
肉や魚がくっついてしまうのには筋形質たんぱく質(ミオグロビンや各種酵素など)が大きくかかわっていますので、水分を拭き取ってから調理をしないと水溶性である筋形質たんぱく質が原因となりくっつきやすくなります。
調理は小さなひと手間の積み重ねです。
ステンレス鍋の熱伝導率とは?

ステンレスは熱伝導率の悪い素材です。
熱伝導率が良くないということは「温度が伝わりにくい」「温度が上がりにくい」「熱ムラができやすい」ということになります。ステンレス鍋に食材がくっつきやすいのは熱の伝わり方に問題があるためということになります。
そのために多くのステンレス鍋は多層構造になっています。
物質名 | 熱伝導率 W/(m・K) |
---|---|
銅 | 398.0 |
アルミニウム | 237.0 |
鉄 | 80.3 |
ステンレス SUS405/SUS304 | 27.0 |
多層構造にすることで熱伝導率が良くなります。
ステンレス鍋は「熱しにくく冷めにくい鍋」ですが、熱伝導率に優れた素材(アルミニウムなど)をステンレスで挟み込むことによって「熱しやすく冷めにくい鍋」になります。これによってステンレスのメリットを活かしつつも熱ムラのできにくい鍋になります。
しかし性能の良いものは驚くほどの高価格になります。
くっつかないようにするためには?

ステンレス鍋はくっつきやすい鍋です。
これはステンレスの持つ「熱が伝わりにくい」「温度が上がりにくい」「熱ムラができやすい」などの特徴によるものです。そのためステンレス鍋に食材がくっつくのを防ぐためには十分に熱して熱ムラをなくすことがポイントになります。
おすすめは油返しです。
油返しとは「多めの油を熱することで鍋全体を均一に温めるテクニック」です。主に中華鍋や鉄フライパンに重宝されているテクニックではありますが、ステンレス鍋をくっつきにくくするためにも使えます。
また油返し後にあら熱を取ることで簡易的な油膜の形成にもなります。
鉄フライパンは油返しにより熱ムラをなくします。
【まとめ】ステンレス鍋は焦げやすい?
ステンレスは食材(主に肉や魚などのたんぱく質食材)のくっつきやすい素材です。これはステンレスの持つ「熱が伝わりにくい」「温度が上がりにくい」「熱ムラができやすい」などの特徴が筋形質たんぱく質(球状たんぱく質)の活性基と金属面を凝着させてしまうためです。くっつくのを防ぐためには油返しなどにより鍋全体を均一に温めることがポイントになります。