ぬか床がシンナー臭くなる理由は?

ぬか床はシンナー臭くなることがあります。

シンナーとは塗料などの溶媒として用いられている有機溶剤です。主にトルエン、酢酸エステル類、アルコールなどが利用されています。食品とは無関係なように思われるかもしれませんがぬか床内でも同様の化合物が作られています。

セメダインや除光液臭いと感じられることがあるのも、これらの製品に有機溶剤が含まれているためです。

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シンナー臭くなる理由は?

シンナー臭くなる理由は?

ぬか床のシンナー臭はエステルによるものです。

ぬか床には複数の微生物が生育しています。微生物は米ぬかや野菜に含まれている各種成分を分解して乳酸や酪酸などの有機酸やエタノールやプロパノールなどのアルコールを生成しています。微生物により味が変わるのは生成される成分が変化するためです。

有機酸とアルコールはエステル化することにより様々な香気成分になります。

有機酸+アルコールエステルにおい
酪酸+プロパノール酪酸プロピルパイナップル系の果実香
酢酸+プロパノール酢酸プロピル梨系の果実香
プロピオン酸+エタノールプロピオン酸エチルバナナやパイナップル系の果実香

ぬか床の果実香は縮合反応によるものです。

有機酸とアルコールは縮合反応(エステル化)することによりバナナやパイナップルのような果実香になりますが、濃度が高くなることによりシンナー臭(セメダインのような有機溶剤の刺激臭)になりますのでぬか漬けも美味しくなくなります。

このことからも過発酵には注意が必要です。

薬品臭くなる理由は?

薬品臭くなる理由は?

ぬか床は熟成により薬品臭が生じることがあります。

これはぬか床の熟成に伴い醤油の熟成香気でもあるフェノール化合物(4-エチルグアイアルコール)による香ばしい燻製香が生じるためです。この香りも低濃度であれば好まれますが高濃度になると薬品臭として認識されるようになります。

ちなみにラクトンも生成されています。

ここから明らかなように、115成分は、39種のエステル、13種の酸、23種のアルコール、9種のラクトン、8種のフェノール、2種のカルボニル化合物、13種の炭化水素そして4種の含硫含窒素化合物などから構成されていた。

ラクトンとは環状エステルです。

ぬか床には複数のラクトンが生成されています。発酵過程で感じられることのある「桃のような香り」や「花や柑橘類のような香り」といった甘い香気成分はラクトンによるものです。ラクトンはぬか漬けのコク味に関与していると考えられています。

ぬか床の香気成分は想像以上に複雑です。

有機溶剤臭を改善するには?

有機溶剤臭を改善するには?

シンナー臭の改善にはいくつかの方法があります。

たとえばぬか床の水分量を減らせば有機酸とアルコールの生成量が減るためにシンナー臭は軽減されます。しかし管理温度が高すぎる場合には異常発酵が原因になっていますので、温度を下げるか塩分濃度を高くして微生物の活動を抑制する必要があります。

以下のようなイメージです。

対処方法仕組み
水分量を減らす
かき混ぜる頻度を増やす
有機酸とアルコールが生成されにくくなる
温度を下げる
塩分濃度を高くする
微生物全体の生育スピードを抑制する

気温の高い季節には要注意です。

乳酸発酵をする乳酸菌は生育スピードの早い微生物ですし、アルコール発酵をする酵母は(乳酸菌と比べて)低温を好む微生物であるために25~30℃ほどの温度でも異常発酵してしまうことがあります。

このことからも、室温が25℃を超えるような季節には早めの対応が必要です。

Suzu
シンナー臭は水分量が急激に増えた時に起こりやすくなります。

シンナー臭は水分量が急激に増えた時に起こりやすくなります。これには酵母の「空気のある環境では増える」「空気のない環境ではアルコール発酵をする」という特徴が関係しています。酵母の増えた状態で水分量が増えるとアルコールと有機酸が多量に生成されるためにシンナー臭が起こりやすくなります。

【まとめ】ぬか床がシンナー臭くなる理由は?

ぬか床がシンナー臭く(セメダイン臭く)なることがあるのはエステル化(有機酸とアルコールがエステルを生成する反応)が過剰になっているためです。有機酸とアルコールはどちらも空気が遮断された状態で生成されやすくなる成分ですので空気に触れさせるような手入れ(水抜きや足しぬかなど)をすることにより改善できます。それでも改善できなければ微生物の活動を抑制するような手入れ(塩分濃度を高くする、からしを入れる、涼しい場所で管理するなど)をします。