ぬか床に加えるビールの効果は?

ぬか床にはビールを加えることがあります。

ビールを加えたぬか床(ぬか漬け)は美味しくなります。これはビールの味(風味や苦味など)が漬物との相性が良いことに加え、ビールは酸性(pH3~5)であるために「アルカリ性の悪臭が中和される」「味がぼやけない」などの効果が得られるためです。

アルコールには注意が必要ですが、酸味の少ないぬか床にはおすすめの副材料といえます。

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ビールの加え方は?

ビールの加え方は?

ぬか床には飲み残しのビールを加えます。

ぬか漬けは乳酸発酵の漬物です。乳酸菌が産生する乳酸により産生pH(pH4.5前後)を維持しています。しかし乳酸菌にはアルコール耐性がありませんので、そのままのビールを加えてしまうと乳酸菌へのダメージになります。

乳酸菌の死滅したぬか床は短期間のうちに腐りますので注意が必要です。

特徴乳酸菌酵母
発酵様式乳酸発酵アルコール発酵
生育温度20~45℃10~35℃
アルコール感受性耐性あり

乳酸菌はぬか床の主役ともいえる微生物です。

乳酸菌(L.plantarumやL.brevisなど)の産生する乳酸はpHを下げることによりぬか床を腐りにくくしています。そのためアルコールを多量に混ぜ込んでしまうと乳酸菌が弱る(死滅する)ことにより腐りやすくなってしまいます。

このことからもぬか床にビールを加える場合には「前夜に飲み残したビールを少量加える」くらいがおすすめです。

ぬか床が美味しくなる理由は?

ぬか床が美味しくなる理由は?

ビールには特有の風味や苦味があります。

料理は五味(塩味、甘味、酸味、苦味、うま味)がそろうことにより美味しくなります。ビールには塩味以外の味がそろっていますので、ぬか床に加えることによりバランスが良くなります。調味のおける隠し味のような役割です。

また、発酵を助ける働きもあります。

市販の生ビールは酵母や酵素をろ過してから出荷されています。このことからもビールの酵母や酵素が直接的にぬか床に作用することはありません。しかしビールには多種多様な発酵産物が含まれていますのでぬか床内の微生物を元気にさせます。

プレバイオティクスのような働きをするということです。

ぬか床の悪臭が和らぐ理由は?

ぬか床の悪臭が和らぐ理由は?

ビールにはぬか床の悪臭を和らげる可能性があります。

ぬか床の臭い(悪臭)には、大きく「有機酸の臭い」と「アンモニアなどの臭い」の2パターンがあります。ビールを加えることで効果があるのは後者の悪臭です。ビールはpH3~5の酸性飲料ですので、アンモニアが中和されることにより悪臭が和らぎます。

しかし前者の悪臭には逆効果になります。

ぬか床における有機酸のにおいには「乳酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸など」があります。たとえば酢酸はお酢のにおい物質、酪酸は銀杏のにおい物質、プロピオン酸は刺激的な酸臭ですのでこれらの有機酸が増えると悪臭になります。

このことからも酸の強いぬか床には注意が必要です。

Suzu
有機酸とアルコールはエステル化します。

有機酸とアルコールはエステル化することにより様々な香りを生み出します。たとえばぬか床の果実香(バナナやパイナップルのような香り)はエステルによるものです。しかし濃度が高くなると刺激臭(シンナー臭やセメダイン臭)となってぬか漬けへの悪影響となります。

【まとめ】ぬか床に加えるビールの効果は?

ビールはぬか床にとっての定番の副材料です。ビールを加えることによってぬか床の味が複雑になります。これはビールの苦みがぬか漬けのアクセントになるためです。しかしアルコールは乳酸菌へのダメージになりますので「前夜の飲み残しを少量加える」くらいが適量になります。また水分過多のぬか床には嫌気性菌(乳酸菌や酪酸菌など)が増えすぎてしまうリスクもあります。