ぬか漬けがしょっぱい?

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こんにちは、めしラボです。

ぬか漬けは爽やかな酸味と複雑なうま味を有する漬物です。しかし立ち上げた(作った)ばかりのぬか床で漬けられたぬか漬けでは「しょっぱいだけで美味しくない」「うま味が足りない」「味が単調で美味しくない」などの問題が生じることがあります。

これはぬか床が新しすぎることで起こりやすくなる問題です。

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今回の記事は次のような人におすすめ!

  • ぬか漬けがしょっぱいだけで美味しくない。
  • うまみが足りなくて美味しくない。
  • 立ち上げたばかりのぬか床が美味しくない理由は?

ぬか漬けがしょっぱいのはぬか床の熟成不足です。

ぬか漬けの塩分濃度は2~5%ほどです。たくさん食べれば塩辛い塩分濃度ではありますが箸休め程度に食べるのであれば適切な塩辛さであるといえます。しかしぬか床の熟成が進んでいないと塩分濃度以上の塩辛さを感じられることがあります。

刺々しい塩辛さを感じる場合にはぬか床の熟成不足を疑う必要があります。

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ぬか漬けの塩分濃度は?

ぬか漬けの塩分濃度は2~5%ほどです。

食品成分表2021によると「蕪のぬかみそ漬け:葉3.8%、根皮つき2.2%、根皮なし6.9%」「大根のぬかみそ漬け:3.8%」「胡瓜のぬかみそ漬け:5.3%」などのような記載があることからもおおよそ2~5%であるといえます。

野菜が漬物になるのは塩の作用です。

野菜の細胞は細胞壁と細胞膜により成り立っています。細胞の周りに濃度の高い食塩水があると浸透圧の作用により半透膜の性質を持つ細胞膜を通して細胞内の水分が外に浸出して原形質分離を起こすようになります。

この野菜がしんなりした状態を「漬かる」といいます。

このことからも野菜が漬かるためにはある程度の塩分濃度が必要であり、塩分濃度が低すぎると浅漬けのように生野菜の食感の残る漬物になります。

塩分濃度以上に塩辛く感じる?

ぬか漬けの風味は塩辛さに影響します。

ぬか床に生育している微生物(乳酸菌や酵母など)は野菜や米ぬかに含まれている各種成分を分解することにより、乳酸、酢酸、エタノールなど複雑な成分を生成して発酵漬物特有の風味を生み出します。

これらの風味成分はぬか漬けの味を複雑にします。

立ち上げたばかりのぬか床は微生物の多様性に欠けるために「刺々しい塩辛さのあるぬか漬け」になりますが、発酵が進んだぬか床は風味が複雑になるために「塩味の角が取れて食べやすいぬか漬け」になります。

これは各種風味(特に酸味)が塩味に対する抑制効果として作用するためです。

ぬか床の熟成を促すには?

ぬか床の熟成には時間がかかります。

立ち上げたばかりのぬか床には乳酸球菌や雑菌(グラム陰性菌など)が増えますが雑菌は乳酸球菌の生成する乳酸により死滅していきます。さらに乳酸が増えてくると乳酸球菌も死滅していき(より乳酸耐性の高い)乳酸桿菌が増えていきます。

この段階になるとぬか床と呼べる代物になります。

初期のぬか床の熟成を促すポイントはとにかく乳酸菌を増やすことですので、かき混ぜる頻度を減らして空気に触れる頻度を減らすように管理していきます。これにより嫌気性菌(通性嫌気性菌)である乳酸菌が増えやすくなります。

ぬか床は1~2週間ほどで酸味が出てきて食べられるようになり、3カ月(夏で2カ月、冬で4カ月)ほどで安定した状態になります。

ここまで熟成が進んでいれば塩味の角の取れた美味しいぬか漬けになります。

まとめ・ぬか漬けがしょっぱい?

ぬか床の塩分濃度は6%ほどです。

塩分濃度6%ほどのぬか床に野菜をつけると塩分濃度2~5%ほどのぬか漬けになります。たくさん食べれば塩辛い塩分濃度ではありますが箸休めに食べるにはちょうど良い塩味です。しかし発酵不足のぬか床で漬けられたぬか漬けは香味が単調すぎるために「しょっぱいだけのぬか漬け」や「塩味に角のあるぬか漬け」になってしまいます。

改善策としては、塩分濃度を低くするのではなく発酵を促すことがポイントになります。

※ぬか床容器は価格変動が大きいため注意してください。常温管理には米ぬかをこぼしにくい寸胴型容器、冷蔵庫管理にはデッドスペースのできにくい角型容器がおすすめです。