鉄フライパンの真ん中がくっつく理由は?

鉄フライパンは真ん中がくっつきやすくなることがあります。

真ん中がくっつきやすくなるのは「熱伝導率が悪く熱ムラ(ホットスポット)ができやすい」ことと「家庭用ガスコンロの中央部には安全センサー(Siセンサー)が付いているために温まりにくい」ことが原因になっています。

そのため、熱ムラをなくすことでくっつきにくくなります。

食材がくっつく仕組みは?

鉄フライパンは油切れにより食材がくっつきます。

食材がくっつくというのは食材と金属面が接している状態で時間をかけて加熱されることにより起こります。これは筋形質たんぱく質が熱凝固する過程で一時的に活性基が露出して金属面と張り付いてしまうためです。

張り付きを防ぐためには油の膜で食材と金属面が直接接しないようにすることと、速やかに食材の表面を焼き固めてしまうことがポイントになります。

改善策 仕組み
油膜の形成 食材と金属面が直接接しないようにする
十分に熱する フライパンの温度の低下を防ぐ

鉄フライパンは温度が下がるとくっつくようになります。

これは温度の低下により食材の表面が焼き固められる前に油が吸われてしまうためであり、鉄フライパンでの調理では「食材は常温に戻しておく(または温めておく)」ことが推奨されているのはフライパンの温度を必要以上に下げてしまわないためです。

また、フライパンの温度の低下はフライパンの熱容量(比熱×質量)によっても変わってきますので、薄くて軽い鉄フライパンよりも厚くて重い鉄フライパンの方がくっつきにくくなります。

熱伝導率が悪いとくっつく?

加熱前
加熱前
加熱後
加熱後

鉄は熱伝導率が良くありません。

上の画像は鉄フライパンに小麦粉をふって火にかけたものですが、ガスコンロの火にあたっていた部分だけが熱せられて中央部分の安全センサー(Siセンサー)が当たっていた部分が温まっていないことは一目瞭然かと思います。

調理道具の説明などで「鉄は熱伝導率に優れているため……」という触れ込みを目にすることがあるかと思いますが、鉄の熱伝導率は銅やアルミニウムと比べると1/3以下にしかなりませんのでお世辞にも優れているとは言えません。

熱伝導率が良いといわれることがあるのは、ステンレスや陶器と比べてのことです。

物質名 熱伝導率
W/(m・K)
398.0
アルミニウム 237.0
80.3
ステンレス
SUS405
27.0
陶器 1.0~1.6

熱伝導率の悪さは食材がくっつく原因になります。

鉄フライパンには熱ムラ(ホットスポット)ができます。これは熱伝導率が悪いためであり、基本的には火に接している部分が円形状に温まり、中央部は温まりにくくなります。特にSiセンサー付きのガスコンロの場合には熱ムラが大きくなります。

そのため油切れを起こしやすくなりますし油膜も育ちにくくなります。

ちなみに、目玉焼きの中心部分がくっつきやすいのも温度を下げてしまうためです。鉄フライパンで目玉焼きを焼くとフライパンの中央部分が温まりにくいことに加えて卵黄が熱を奪いますので卵白の部分よりもくっつきやすくなります。

熱ムラをなくすためには?

鉄フライパンは油返しにより熱ムラがなくなります。

もちろん油返しをしなくても使えますが、くっつきやすい食材を調理する場合には油返しをして熱ムラをなくしておくことでくっつきにくくなります。また、いったん冷ましてから再加熱することにより(一時的に)油膜が強固になります。

そのため鉄フライパンにはオイルポットが欠かせません。

  1. 薄煙がでるまで熱します。

    step.1

  2. 多めの油を加えて温めます。

    step.2

  3. 温めた油をオイルポットに戻します。

    step.3

  4. 調理油を加えて調理をはじめます。

    step.4

また、熱ムラには板厚も関わります。

食材が焦げつきにくい鍋の特徴は「熱伝導率が良い」「鍋底が厚い(鍋が重く熱容量が大きい)」の2点です。鉄は熱伝導率の低い素材ですので、可能な限り焦げ付きを防ぐためには重い(板厚の厚い)フライパンを選ぶことがポイントになります。

用途によっては薄板でなければいけないこともありますが、焼き物をすることが多いのであれば厚板のフライパンの方がくっつきにくくなります。

【まとめ】鉄フライパンの真ん中がくっつく理由は?

家庭用のガスコンロを使うと鉄フライパンの真ん中がくっつきやすくなります。これは家庭用のガスコンロには安全センサー(Siセンサー)が付いているためであり、真ん中が温まりにくいためにくっつきやすくなります。熱ムラをなくすことでくっつきにくくなりますので、ていねいに油返しをすることがポイントになります。