鉄フライパンの真ん中がくっつく理由は?

鉄フライパンは油返しにより熱ムラをなくします。

「鉄は熱伝導率に優れている」という話を聞くこともあるかと思いますが、それは嘘です。確かにステンレスなどと比べれば熱伝導率に優れているといえなくはありませんが、調理道具の中ではさほど良いものではありません。

鉄フライパンの真ん中がくっつきやすいのは熱伝導率が悪いためです。そのために油返しをすることにより熱ムラを解消させることもあります。

スポンサーリンク

油返しのやり方は?

鉄フライパンは油返しにより熱ムラがなくなります。

油返しとは「油を熱することで鉄フライパンを均一に温めること」です。油返しをすることにより熱ムラがなくなり、結果として食材がくっつきにくくなります。これは食材がくっつくのは温度と油切れが原因になっているためです。

以下は基本的な油返しの手順です。

  1. 鉄フライパンを薄煙が出るくらい(200℃くらいまで)まで熱します。これにより吸着水がなくなり油なじみが良くなります。

    step.1

  2. 多めの油を加えて温めます。フライパン全体を均一に温めることが目的ですので、最低でも底面に数ミリ厚さで広がる程度の油を注ぎます。

    step.2

  3. 余分な油をオイルポットに戻します。適温まで冷ましてから料理をはじめます。ここで底を水に当てるなどして完全に冷ましてから再度熱することで(一時的に)油膜が厚くなりくっつきにくくなります。餃子などの前にはおすすめできるテクニックです。

    step.3

これにより鉄フライパンは均一に温まります。

ちなみに鉄フライパンは板厚の厚いものほど「熱ムラができにくい」「焦げにくい」「くっつきにくい」などのメリットがあります。このことからも鉄フライパンは(扱える範囲内での可能な限り)厚板のものをおすすめします。

薄板は炒め物、厚板は焼き物のようなイメージです。

熱ムラによりくっつきやすくなる?

鉄フライパンは温度の低い部分でくっつきます。

たとえば肉がくっつくのは「筋形質たんぱく質が熱凝固する過程で一時的に活性基が露出して金属面と張り付いてしまうため」です。そのために肉がくっつかないようにするためには「瞬時に焼き固める(熱凝固させる)」ことがポイントになります。

熱ムラがあると熱凝固に時間がかかるためにくっつきやすくなります。

改善策仕組み
油膜の形成食材と金属面が直接接しないようにする
十分に熱するフライパンの温度の低下を防ぐ

本来、鉄のフライパンはくっつきにくいフライパンです。

これは鉄フライパン(特に厚板の鉄フライパン)の熱容量が大きいためであり、食材により温度が下がりにくいために食材がくっつきにくくなります。ちなみにアルミがくっつきやすいのは温度変化が大きいためであり、ステンレスがくっつきやすいのは鉄以上に熱ムラができやすいためです。

このことからも、鉄フライパンは厚板のものほどくっつきにくくなります。

熱ムラの原因は熱伝導率の悪さ?

加熱前
加熱前
加熱後
加熱後

鉄の熱伝導率は良くありません。

上の画像は鉄フライパンに小麦粉をふって火にかけたものですが、ガスコンロの火にあたっていた部分だけが熱せられて中央部分の安全センサー(Siセンサー)が当たっていた部分が温まっていないことは一目瞭然かと思います。

調理道具の説明などで「鉄は熱伝導率に優れている」という触れ込みを目にすることがあるかと思いますが、鉄の熱伝導率は銅やアルミニウムと比べると1/3以下にしかなりませんのでお世辞にも優れているとは言えません。

熱伝導率が良いといわれることがあるのは、ステンレスや陶器と比べてのことです。

物質名熱伝導率
W/(m・K)
398.0
アルミニウム237.0
80.3
ステンレス
SUS405
27.0
陶器1.0~1.6

熱伝導率の悪さは食材がくっつく原因になります。

鉄フライパンには熱ムラ(ホットスポット)ができます。これは熱伝導率が悪いためであり、基本的には火に接している部分が円形状に温まり、中央部は温まりにくくなります。特にSiセンサー付きのガスコンロの場合には熱ムラが大きくなります。

そのため油切れを起こしやすくなりますし油膜も育ちにくくなります。

ちなみに、目玉焼きの中心部分がくっつきやすいのも温度を下げてしまうためです。鉄フライパンで目玉焼きを焼くとフライパンの中央部分が温まりにくいことに加えて卵黄が熱を奪いますので卵白の部分よりもくっつきやすくなります。

これらのことからも、特に家庭用ガスコンロの場合には油返しをすることが多くなります。

【まとめ】鉄フライパンの油返しとは?

鉄フライパンは油返しにより熱ムラがなくなります。油返しとは油を利用してフライパン全体を均一に温めることです。これにより「くっつきにくくなる」「焼き色が均一につく」などのメリットが得られます。必ずしも必要な手順ではありませんが、料理によっては重宝されるテクニックです。