
ハンバーグには卵を加えます。
卵を加えることによって主材料(ひき肉)と副材料(玉ねぎやパン粉など)がうまくまとまるようになります。また、卵(卵黄)には乳化剤として働くレシチンが含まれていますので、水と油(うま味と脂肪)のなじみも良くなります。
もちろん、卵黄の風味や卵白の食感もプラスに働きます。
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ハンバーグのつなぎとは?

卵はハンバーグのつなぎになります。
ハンバーグはひき肉をこねて作ります。ひき肉はこねることにより筋原線維たんぱく質のミオシンとアクチンが混ざり合ってアクトミオシンと呼ばれる網目構造を形成します。これによって粘りが生じて肉汁が逃げにくくなります。
しかし、そのまま焼いたのでは硬くなりすぎてしまいます。
そこで、副材料(みじん切りにして炒めた玉ねぎや牛乳に浸したパン粉など)を加えます。副材料を加えられたハンバーグには「たんぱく質の強い結合が部分的に弱められる」「適度なもろさを出してソフトな食感になる」などのメリットが得られます。
この主材料と副材料をつないでいるのが卵や塩などです。
ハンバーグのこね方にはコツがあります。 ひき肉はよくこねることにより粘りがでて肉のうま味や水分を閉じ込めやすくなります。これは筋原線維たんぱく質であるミオシンとアクチンが混ざり合うことで作られるアクトミオシンが網目構造を …
卵の役割とは?

卵の卵黄と卵白は異なる働きをします。
卵黄に含まれているレシチンやLDLたんぱく質(低密度のリポたんぱく質)は乳化剤として働きます。卵黄が加わることにより肉汁と脂肪が乳化して(混ざり合って)ハンバーグがまとまりのある味になります。
もちろん、卵黄特有のコク味も加わります。
卵白には「加熱によりゲル状に固まる」「水や油を抱え込む」という性質があります。卵白に含まれている主要なたんぱく質(オボアルブミン)の熱変性温度は約80℃ですのでハンバーグの中では完全に凝固することなくゲル状で残ることもあります。
これによりハンバーグがなめらかに仕上がります。
卵の凝固温度は55~80℃です。 卵に含まれているたんぱく質は加熱により変性(折りたたまれていたたんぱく質のアミノ酸鎖がほどけて互いに結合しあうことで連続した網状構造を形成すること)が起こります。変性温度はたんぱく質の種 …
マヨネーズで代用できるのか?

マヨネーズは(部分的にではありますが)卵の代用になります。
マヨネーズは卵黄に含まれる乳化成分を利用して作られる水中油滴型の乳化ソースです。卵黄型マヨネーズには「卵黄、油、酢、塩、スパイスなど」が含まれていますので、ハンバーグの肉汁と油のなじみをよくします。
また、お酢には熱変性温度を下げる働きがありますので柔らかく仕上がります。
メリット | 肉汁と脂肪のなじみが良くなる 柔らかく仕上がる |
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デメリット | 卵白によるメリットが得られない お酢やスパイスの風味 |
マヨネーズでの代用には好みが分かれます。
マヨネーズには乳化作用とお酢による肉を柔らかくする効果(保水性の向上と熱変性温度を下げる効果)がありますので悪くはありません。しかしマヨネーズ特有の風味が加わることになりますので気になることもあるはずです。
試してみる価値はありますが、万人受けするとは限りません。
マヨネーズのレシピです。 マヨネーズは水に油を分散させて作る水中油滴型の乳化ソースです。水と油のバランスがマヨネーズの硬さを変えます。油の割合が多い(水に分散する油滴が多い)ほどに硬くなり、少ないほどに軟らかいソースにな …
卵なしだとどうなる?

卵なしのレシピも珍しくありません。
ハンバーグに加える卵の役割は「主材料と副材料のつなぎ」ですので、副材料を加えない(または少ない)レシピの場合には加えないこともあります。たとえば、牛肉を粗挽きにして作るハンバーグステーキなどでは卵を加えるメリットは大きくありません。
その場合、少し特殊な作り方をします。
赤身の肉には筋原線維たんぱく質が多くペースト状になりやすいという特徴がありますので、「軽くこねた脂身を含む肉をよくこねた赤身の肉で包む」というテクニックが取られます。これにより副材料を加えなくても適度なもろさが出ます。
しかし普通のハンバーグには卵を加えたほうが美味しくきれいに仕上がります。
【まとめ】ハンバーグに入れる卵の役割は?
ハンバーグに加える卵には「風味が加わる」「主材料と副材料をまとめるつなぎになる」「肉汁と脂肪のなじみが良くなる」「水分と油分を抱え込んでジューシーに仕上がる」などのメリットがあります。主材料に対する副材料の割合が多くなるほどに卵を加えるメリットは大きくなります。