プリンが膨らむ理由は?

プリンは過加熱により膨らむことがあります。

膨らむ原因には2パターンがあります。それが「卵(卵白)に含まれている炭酸ガス(二酸化炭素)が気化することにより膨らむこと」と「たんぱく質のネットワークから絞り出された分離液が気化(沸騰)することにより膨らむこと」です。

前者は85℃以上で起こりやすく、後者は95℃以上で起こりやすくなります。

卵(卵白)の溶存気体とは?

卵(卵白)の溶存気体とは?

卵(卵白)には炭酸ガスが溶け込んでいます。

産卵直後の卵には多くの炭酸ガスが溶け込んでいるためにpH7.5付近ですが、溶け込んでいる炭酸ガスは時間経過とともに気孔を通って蒸散していきます。数日から10日ほどでpH9付近になり最終的にはpH9.5程度まで上昇します。

このことからも卵には鮮度によるメリットとデメリットがあります。

たとえば鮮度の良い卵でゆで卵を作ると炭酸ガスが卵殻と卵殻膜を張り付けてしまうために殻を剝きにくくなりますが、鮮度の良い卵には「卵臭さが少ない」「卵黄が変色しにくい」などのメリットもあります。

反対に鮮度の落ちた卵でゆで卵を作ると殻を剥きやすくはなるものの、「硫黄臭を強く感じるようになる」「卵黄の表面が変色する」などのデメリットが生じやすくなります。

85℃以上で膨らむ理由は?

85℃以上で膨らむ理由は?

プリンは85℃以上で急激に膨らみやすくなります。

これは卵の熱凝固が55~80℃の範囲で起こるためであり、80℃以上に加熱をすると蒸散しきれなかった溶存気体(炭酸ガス)が膨張することによりプリンを膨らませるためです。このことからも鮮度の高い卵で作ったプリンであるほどに膨らみやすくなります。

以下は卵白のたんぱく質と特性です。

たんぱく質名 組成 変性温度 特性
オボアルブミン 54% 84.0℃ 熱凝固に寄与
オボトランスフェリン 12% 61.0℃ 抗微生物作用
オボムコイド 11% 70.0℃ プロテアーゼ阻害作用
オボグロブリン 8% 92.5℃ 泡立ち性に寄与
オボムチン 3.5% 泡の安定性に寄与
リゾチーム 3.4% 75.0℃ 溶菌作用

オボアルブミンが凝固するのが75~80℃です。

そのため卵白が炭酸ガスを含んでいる場合には85℃付近から急激に膨らみはじめます。そのために鮮度の高い卵を使って(プリン液の余熱をせずに)作ったとしても80℃付近で加熱を止めていればプリンが膨らむことはありません。

多少の気泡ができる程度で済みます。

Suzu

95℃以上まで加熱してしまうと溶存気体の有無とは関係なしに膨らむようになります。これはたんぱく質によるネットワークから絞り出された水分(分離液)が気化するためであり、パンケーキのように膨らんでしまいます。

余熱をすると膨らみにくくなるのは?

余熱をすると膨らみにくくなるのは?

プリン液は55℃ほどに余熱をしてからプリン型に注ぎます。

優しくかき混ぜながら余熱をすることにより、溶存気体が抜けて「す(気泡)ができにくくなる」「温度を上げすぎても膨らみにくくなる」などのメリットが得られます。気体には「温度が高くなるほどに溶けにくくなる」という性質があるためです。

以下は水1Lに対する二酸化炭素の溶解度(mol)です。

温度 二酸化炭素(CO2
0℃ 7.67×10-2
20℃ 3.90×10-2
40℃ 2.36×10-2
60℃ 1.64×10-2
80℃ 1.27×10-2

プリン液は55℃ほどまで余熱をします。

かき混ぜながら余熱をすることにより多くの溶存気体(炭酸ガス)が抜けます。それによって、プリンの気泡や膨らみを防ぐことができます。60℃以上に加熱をしてしまうとたんぱく質(オボトランスフェリンなど)の熱変性がはじまってしまいます。

余熱にも過加熱は厳禁です。

【まとめ】プリンが膨らむ理由は?

プリンが膨らむのは卵白に溶けこんでいる炭酸ガス(二酸化炭素)が固まったプリンの中で膨張するためです。このことからも鮮度の高い卵を使うほどに膨らみやすくなります。膨らみを防ぐためにはプリン液を55℃ほどに予熱することによりある程度の溶存気体を抜くことがポイントになります。