
鉄フライパンはリセットできます。
鉄フライパンを使い続けていると「くっつきやすくて使いにくくなる」「汚れの蓄積がひどくて汚らしくなる」「新品の鉄フライパンのように最初からやり直したい」などの不満や願望が出てくることも珍しくはありません。
鉄フライパンは何度でも復活や再生させることができますので安心してください。
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鉄フライパンのリセットとは?

鉄フライパンのリセットとは、油膜を除去することです。
鉄フライパンは鉄の地肌の上に「酸化皮膜(黒錆)」と「油膜(油が酸化重合することによる樹脂層)」を形成されることで使いやすくしています。銀色の鉄フライパンが青灰色になるのは酸化皮膜の色であり、食材がくっつかなくなるのは油膜によるものです。
しかし油膜の質が悪いと食材がくっつきやすくなります。
そこで鉄フライパンの油膜を取り除きます。質の悪い油膜を取り除いて最初から油膜を作り直すことを「鉄フライパンをリセットする」と表現されています。酸化皮膜まで取り除くこともありますが、通常は油膜のみを取り除きます。
以下は2種類のやり方の仕組みです。
物理的なリセット | 油膜を焼き切る |
---|---|
化学的なリセット | 洗剤を使って落とす |
どちらを選ぶかは好みによります。
物理的なリセット方法では「油膜を焼き切ってから削り落としていく」ために高温に熱する必要があり、化学的なリセット方法では「アルカリ性洗剤(酸素系漂白剤など)を使って油膜を剥離させる」ためにそれ相応の知識が必要になります。
どちらにも一長一短があるということです。
焼き切ることでリセットする方法
から焼きにより油膜を焼き切ります。
から焼きをして油膜や油汚れを焼き切る(炭化させる)ことがポイントです。炭化した油汚れは金たわしやスクレパーなどを使えば簡単に落ちるようになります。しかし高温に熱する必要がありますので設備上不可能であることも珍しくはありません。
設備が整っているのであればおすすめの方法です。
①鉄フライパンをから焼きすることで油膜や油汚れを炭化させます。油汚れが蓄積している場合には炎が上がります。
step.1
②炭化した汚れを金たわしやスクレパーなどを使って落とします。しっかり炭化させていればポロポロと剥がれるように落ちます。
step.2
③酸化皮膜まで落とす場合は紙やすりを使って削っていきます。特別な理由がなければ酸化皮膜まで落とす必要はありません。(※電動工具を使う場合には安全面に配慮してください。)
step.2
最もシンプルな方法です。
しかし家庭用コンロ(SIセンサーの付いたガスコンロやIHコンロ)では不可能ですので、カセットコンロやSIセンサー解除の五徳などを使うことになります。また、汚れの程度によっては大きな炎がでますので注意が必要です。
鉄の地肌が出た場合には酸化皮膜を作っておきます。
鉄フライパンは高温に熱することで酸化皮膜が形成されます。
洗剤を使ってリセットする方法
洗剤により油膜や油汚れを除去します。
油膜や油汚れはアルカリ性の洗剤で落とせます。このことからも重曹(炭酸水素ナトリウム)やセスキ炭酸ソーダ(セスキ炭酸ナトリウム)、酸素系漂白剤などを使って落としていく方法が化学的なリセット方法になります。
ゴム手袋やメガネなどの保護具を使ってください。
①軽度であれば重曹ペースト(重曹:水=2:1)を使ってこすり落とします。(※スポンジではなく丸めたラップやアルミホイルなどを使うと研磨力が得られます)金たわしでもOKです。
step.1
②中度であれば重曹水(水1Lに対して大さじ4ほど)でしばらく煮てからそのまま冷まして金たわしなどでこすります。または酸素系漂白剤に浸け置きしてから重曹ペーストと金たわしでこすり落とします。大抵の汚れはここまでで落ちます。今回もここまでで落ちました。
step.2
③重度の場合には酸性洗剤(スルファミン酸など)で湿布をしてから重曹ペーストなどでこすり落とします。ここでは「LION トイレのルック(スルファミン酸0.8%)」を使っています。
step.3
できることなら酸性洗剤は使いたくありません。
①と②はアルカリ性による油の分解と重曹の研磨力を利用して落としていますが、③は鉄の表面を溶かすことにより落としています。目に見えて形状が変化することはありませんが酸化皮膜(四酸化三鉄)まで除去されるとサビやすくなります。
また洗剤の選び間違いにも注意が必要です。


画像は酸性洗剤を使った後です。基本的にはアルカリ性洗剤で落とすことをおすすめします。アルカリ性洗剤であれば油膜までしか取れませんが、酸性洗剤を使ってしまうと酸化皮膜まで取れてしまいますのでその後の工程が面倒になります。
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【まとめ】鉄フライパンを復活させるには?
鉄フライパンは表面の油膜を取り除くことで何度でも再生させることができます。この作業のことを「鉄フライパンをリセットする」と表現されています。リセット方法には大きく物理的なリセット方法と化学的なリセット方法があり、理想は物理的なリセット方法です。しかし設備の関係で難しい場合には洗剤を使って落としていくこともあります。