ぬか床に卵の殻を入れる理由は?

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こんにちは、めしラボです。

昔ながらのぬか床の手入れには「ぬか床に卵の殻を加える」というものがあります。卵の殻を加えることによって強すぎる酸味を軽減させることができますので、特に夏場のぬか床管理には役立つテクニックであるといえます。

しかし強制的に酸味を和らげることには大きなリスクもあります。

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今回の記事は次のような人におすすめ!

  • ぬか床に卵の殻を加える効果は?
  • 卵の殻の加え方は?
  • 卵の殻を加えることによるリスクとは?

ぬか床には卵の殻を加えることがあります。

卵の殻を加えるのは「ぬか床の酸味を和らげるため」です。ぬか床は乳酸菌の生成する乳酸によって酸味が強くなります(pHが下がります)が、卵の殻(炭酸カルシウム)を加えることによって酸性が中和されるために酸味が和らぎます。

昔ながらの知恵として広く親しまれているテクニックです。

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酸味が和らぐ仕組みは?

卵の殻を加えるとぬか床の酸味が和らぎます。

ぬか床は乳酸菌が増えすぎることにより酸味が生じます。適度であれば爽やかな酸味としてぬか漬けを美味しくしますが、過度になると酸味の刺激が強すぎるために美味しくないぬか漬けになってしまいます。

そこで、卵の殻を加えることにより酸味を和らげます。

卵の殻の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)です。炭酸カルシウムは制酸剤としても利用されている成分ですので、アルカリ性の卵の殻を加えることにより乳酸による酸味が中和されて刺激が和らぎます。

卵の殻には即効性がありますので、夏場の高温などで急激に酸っぱくなってしまった時には有効な手段です。

強すぎる酸味が良くない理由は?

爽やかな酸味はぬか漬けを美味しくします。

しかし、酸味の強すぎるぬか漬けは(好みにもよりますが)美味しくありません。美味しくないだけであればまだましなのですが、酸味が強くなりすぎると(pHが低くなりすぎると)乳酸耐性を持つ乳酸菌であっても死滅してしまうことがあります。

乳酸菌の死滅したぬか床は、短期間のうちに腐ります。

このことからも、強すぎる酸味には注意が必要です。強すぎる酸味の原因には「ぬか床がゆるすぎる(水分が多すぎる)」「かき混ぜ足りない」「温度が高すぎる」などがあります。特に室温の高くなる夏場には要注意です。

余りにも酸味が強くなりすぎた場合には(一時的に)卵の殻を加えてpHが下がりすぎないようにします。

卵の殻のデメリットは?

卵の殻は万能ではありません。

確かに酸味の強すぎるぬか床に卵の殻を加えることで、乳酸が中和されて「強すぎる酸味が和らぐ」「強すぎる酸性pHによる乳酸菌の死滅を防ぐことができる」などのメリットが得られます。室温の高くなる夏場には重宝されるテクニックのひとつです。

しかし、「pHが上がりすぎてしまう」「サルモネラ菌の侵入」などのリスクもあります。

このことからもぬか床に卵の殻を加える場合には「煮沸殺菌しておく」「お茶パックなどに入れていつでも取り出せるようにしておく」などのポイントを守る必要があります。

まとめ・ぬか床に卵の殻を入れる理由は?

ぬか床に卵の殻を加えると、ぬか床の酸味が和らぎます。

これはぬか床が酸っぱくなる原因である乳酸が卵の殻の炭酸カルシウム(CaCO3)によって中和されるためであり、即効性があることからも昔ながらの知恵として広く親しまれています。しかし「pHが上がりすぎてしまう」「サルモネラ菌の侵入」などのリスクもあります。

このことからも、煮沸殺菌した上でお茶パックなどに包んで加えることがポイントになります。

※ぬか床容器は価格変動が大きいため注意してください。常温管理には米ぬかをこぼしにくい寸胴型容器、冷蔵庫管理にはデッドスペースのできにくい角型容器がおすすめです。