鉄フライパンの使い始めは?

鉄フライパンは、使い始めに手間がかかります。

鉄フライパンには流通時の自然酸化(さび)を防ぐためにコーティングが施されています。そのために「①コーティングを除去する→(②酸化被膜を形成させる)→③油膜を形成させる」とった工程を経て“使える”鉄フライパンにする必要があります。

今回はデバイヤーのミネラルビーを例にして使い始めの手順を紹介していきます。

さび止めコーティングの除去方法は?

さび止めコーティングはメーカーにより異なります。

たとえば今回使い始めるデバイヤーのミネラルビー(deBUYER 5610)はオーガニックビーワックス(蜜蝋)でコーティングされているために熱湯で洗い流せますが、一般的な鉄フライパンはクリアラッカー塗装や透明シリコン焼付塗装などでコーティングされています。

基本的には取扱説明書の指示に従うことをおすすめします。

  1. 鉄フライパンに熱湯をかけます。

    熱湯(最低でも蜜蝋の融点である63℃以上)をまんべんなくかけます。

    step.1

  2. 残った水分と蜜蝋を拭き取ります。

    吸水性の良いキッチンペーパーで残った蜜蝋と水分を拭き取ります。

    step.2

  3. リベット部分などは念入りに拭き取ります。

    リベット部分(ハンドルの接合部分)は念入りに落とすようにします。

    step.3

以上が蜜蝋の落とし方です。

しかし蜜蝋がさび止めコーティングとして利用されているのは稀なケースですので、一般的なさび止めコーティング(クリアラッカー塗装)の場合には煙が出なくなるまでから焼きをして焼き切ることになります。

購入した鉄フライパンの取扱説明書を要確認です。

酸化被膜の形成とは?

この工程は必須ではありません。

鉄フライパンは高温酸化させることにより「腐食しにくくなる(赤さびが発生しにくくなる)」「油なじみが良くなる(油膜が剥がれ落ちにくくなる)」などのメリットが得られます。これは鉄の表面に酸化被膜(四酸化三鉄)が形成されるためです。

しかし、酸化皮膜の形成には570℃以上に加熱する必要がありますので(危険が伴うこともあり)任意での作業となります。

  1. ねずみ色の鉄フライパン

    鉄は鈍い光沢のあるねずみ色をしています。

    step.1

  2. きつね色の鉄フライパン

    200℃前後できつね色になります。

    step.2

  3. 青色の鉄フライパン

    300℃前後(250~350℃)で青色になります。

    step.3

  4. 青灰色の鉄フライパン

    570℃以上で青灰色になります。

    step.4

青灰色になったらコンロの上で粗熱が取れるのを待ちます。

酸化皮膜が形成された鉄フライパンは「鉄の表面に四酸化三鉄(Fe3O4)が形成されていてその上に酸化第二鉄(Fe2O3)が薄く浮いているような状態」になっていますので布巾などでこすると酸化第二鉄の赤色が移ります。

黒さび(四酸化三鉄)の上に赤さび(酸化第二鉄)が浮くのは仕方のないことですので心配はいりません。

補足説明

繰り返しになりますが酸化被膜の形成の工程は必ずしも必要な作業ではありません。事実、多くの鉄フライパンメーカーでは推奨してしませんし、厚いフライパンほど酸化被膜の形成(570℃以上まで熱すること)は困難となります。570℃以上というのは鉄が鈍く光りだす温度ですので不安な場合はスルーしてください。そもそもデバイヤー5610(ミネラルビー)はから焼きをせずに使えるフライパンとして割高な価格設定になっていますので、酸化皮膜をつくる場合には5110を選んだほうが良いかもしれません。

油膜の形成(シーズニング)方法は?

鉄フライパンは油膜によりくっつきにくくなります。

この油膜を作る工程のことをシーズニング(または油ならし)と呼ばれています。シーズニングの方法や使用する油脂の選択にはいくつかの方法がありますが、このブログでは「熱した鉄フライパンにヒマワリ油を薄く塗りのばす方法」をおすすめしています。

以下のような工程です。

  1. 鉄フライパンにヒマワリ油を塗り広げます

    200~250℃に熱した鉄フライパンの底面にヒマワリ油を1mmほど注ぎます。薄煙が出るようになったら油を耐熱容器などに移してからウエスやキッチンペーパーなどを使って全体に薄く塗り広げます。

    step.1

  2. ヒマワリ油(乾性油)は酸化により硬化します

    塗り広げた油を硬化させるために翌日まで放置します。

    step.2

  3. 鉄フライパンは熱と時間により強固な油膜ができます

    再び200~250℃(薄煙が出るくらい)まで熱したらヒマワリ油をウエスやキッチンペーパーに染み込ませて内側に薄く塗り広げます。

    step.3

  4. 鉄フライパンの油膜は徐々に熱くしていきます

    3日間ほど(3回ほど)繰り返して油膜が厚くなればOKです。くっつく場合には繰り返します。調理後の熱して乾かしたフライパンに油(乾性油)を薄く塗っておけば自然に油膜は厚くなっていきます。

    step.4

もちろんこの方法が絶対的な正解ではありません。

たとえば今回使用した鉄フライパンの製造元であるデバイヤーや輸入元である株式会社ワイ・ヨットによる取扱説明書には以下のような記述があります。

油ならし:
油をフライパンの底面に約1mmほど注ぎ、少し煙が立つくらいまでフライパンを加熱し、熱した油を別のフライパン等に移した後ペーパータオルで拭き取ります。本製品は使い込めば込むほど馴染みが良くなり、色が濃くなればなるほど自然と焦げつきにくくなる特徴があります。

これらのことからも色々と試してみることをおすすめします。

シーズニングのやり方には個人差があります。使用する油脂によっては異なる性質を有する油膜が形成されますし、調理方法や食材の性質(pHなど)によっては乾性油を使わずに半乾性油を使った方が良い場合もあります。

鉄フライパンは何度でもリセットしてやり直すことが可能ですので、まずは試してみることがポイントになります。

【まとめ】鉄フライパンの使い始めは?

鉄フライパンを使い始めるには「①さび止めコーティングの剥離→(②酸化被膜の形成)→③油膜の形成」をします。酸化被膜(四酸化三鉄)の形成は必ずしも必要な作業ではありませんが、①と③は欠かすことのできない工程となります。鉄フライパンは使い方の違いが色濃く反映される調理道具ですので失敗を恐れずに色々と試してみることがポイントです。