
ホワイトソースは粉っぽくなることがあります。
粉っぽさの原因は「ルーの段階での小麦粉の炒め不足」と「ホワイトソースにしてからの煮込み不足」です。ホワイトソースはルーに流動性が生まれるまで炒め、ソースのコシが切れてなめらかになるまで煮込むことがポイントになります。
これらのポイントによりなめらかでつやのあるホワイトソースになります。
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粉っぽいホワイトソースを防ぐには?

でんぷんの分子が大きいと粉っぽくなります。
ホワイトソース(ベシャメルソース)は小麦粉とバターを炒めてルーを作り、ルーを牛乳で煮込むことによりなめらかなソースになります。これは炒められることによりでんぷん粒の塊が小さくなり、煮込まれることでコシが切れる(でんぷん粒が破裂する)ためです。
コシが切れることでなめらかなソースになります。
ルーをよく炒める | でんぷん粒が分散しやすくする |
---|---|
ソースをよく煮込む | コシが切れてなめらかになる |
粉っぽさの原因はでんぷん粒です。
そのため粉っぽくないホワイトソースを作るためには「小麦粉を流動性が出るまで炒めること」と「コシが切れる(ブレークダウンする)まで煮込むこと」がポイントになります。これにより冷めてもなめらかな(ボソボソにならない)ソースになります。
ちょっとした違いですが、料理の口当たりは大きく変わります。
ルーを炒めると分散しやすくなる理由は?


ルーをよく炒めるとでんぷん粒が分散しやすくなります。
小麦粉とバターを混ぜ合わせると簡易的なルーのようなもの(ブールマニエ)になります。しかし混ぜ合わせただけでは小麦粉の微粒子が寄り集まった状態でバターによりコーティングされているにすぎませんので粉っぽさの残るソースになります。
そこでルーに流動性が生まれるまでよく炒めます。
炒めはじめたばかりのルーはボソボソしていてなめらかさはありませんが、しばらく炒めていると徐々に流動性のあるクリーム状に変化していきます。ヘラですくうとサラサラと流れ落ちるような状態です。
これは攪拌と温度により小麦粉の粒子がほどけて部分的に分解されるためです。
ソースの最終的な粘度はルーの炒め方によっても変化します。ルーには大きく①ブールマニエ(炒めないルー)、②ホワイトルー(130℃以下で炒めたルー)、③ブラウンルー(130以上で炒めたルー)がありますが、最終的なソースの粘度は「②>①>③」の順になります。これは②の場合はアミラーゼによるでんぷんの分解が抑えられるため、③の場合は熱によりでんぷんの分解が進むためです。
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ソースを煮込む理由は?

よく煮込むことででんぷん粒を破裂させることができます。
ホワイトソースのとろみはでんぷん(小麦でんぷん)の糊化によるものですが、でんぷんの糊化(α化)には「徐々に粘度が高くなる→粘度のピーク→ブレークダウン(粘度の低下)→徐々に硬くなっていく」という特徴があります。
ソースを煮込むのはブレークダウンさせるためです。
ソースの粘度 | でんぷんの状態 |
---|---|
徐々に粘度が高くなる | でんぷん粒が膨張しはじめる |
粘度のピーク | でんぷん粒が限界まで膨潤した状態 |
ブレークダウン 粘度の低下 | でんぷん粒が破裂する |
徐々に硬くなっていく | 流れ出たでんぷんが網目状のゲルを形成する |
ブレークダウンさせたソースはなめらかになります。
ホワイトソースが粉っぽくなってしまうのはブレークダウンの手前(粘度のピーク)で煮込むのをやめてしまっているためです。さらに煮込み続けることにより、突然、とろみの少ないさらっとしたソースに変わります。
その状態(ブレークダウン)を「コシが切れる」と表現されています。
ホワイトソースはコシが切れるまで煮込むことにより、粉っぽさのないなめらかなソースになります。これはブレークダウン(でんぷん粒の破裂)によりでんぷんの分子が小さくなっているためです。ちなみに、小麦粉(小麦でんぷん)は約95℃が粘度のピークとなり、片栗粉(じゃがいもでんぷん)は約80℃が粘度のピークになります。
また、料理によっては裏ごしすることもあります。
【まとめ】ホワイトソースが粉っぽい?
ホワイトソースが粉っぽくなるのは「ルーの炒め不足」と「ソースの煮込み不足」が原因になっています。ルーは流動性が出るまで炒めること、ソースはコシが切れる(ブレークダウンする)まで煮込むことがポイントになります。これらの変化は突然起こりますので、注視して調理する必要があります。